だぶたぶの靴を履いて、
彼の親父さんが、泣いていた。
死んだ翌日、
彼のいろんな話をしてくれたときのことだった。
彼が新品のその靴を買って、
履いていたのは、遡ること十日少し前のことだった。
親父さんには大きい靴で、亡き子のものを履いてたのは、
混乱の中だからだったと思う。



足取りがおぼつかなかった。



親父の履いていた靴をなんの気なしに履いた。
小さい・・・かかとを踏みつけないと無理だ。



だがなぁ・・・このふたつの靴は、
決して間違った方向へ、
そう・・・歩いていこうとはしないよ。