2009-01-01から1ヶ月間の記事一覧

箱舟が出る港  第三劇 二章 月世界の戦慄

寂しき影が遠ざかる。 行かないでよ! 叫んだつもりは、言葉にならず、赤子の泣き声だった。 さよならと振る手も見えず、影は躊躇せずに、二人を置いていった。 風も入らぬころ合い良き山林は、捨てた親の餞だったのだろうか? 寒暖なき山林。 なぜか月光が、…