2008-01-01から1ヶ月間の記事一覧

箱舟が出る港 第二劇 四章 分岐嶺

井上を乗せたタクシーは三郷ジャンクションから首都高に入った。 三ヶ月振りの東京であった。 官房長官一藁力の存在は井上にとって心強い味方であった。 世間で一藁を良く言うものはあまり居ない。 いないどころか、老醜の代議士と国民の反感を買っている。 …

箱舟が出る港 第二劇 四章 分岐嶺

〜やーい、赤目、赤目、鬼の目のくせしてよわーーーいアカメ〜 綺麗に晴れた事がない。 少年の頃から、眸は赤く錆びつき、濁っていた。 綺麗ではないが、何もやましい事はしてない。 醜い眸が、他人に背を向ける事を教える。 相手の目をみて話すことが出来な…

箱舟が出る港 第二劇 四章 分岐嶺

―――おおきなのっぽの古時計・・・ 平成18年秋。 金木犀の花咲く秋、少女の歌う歌が聞こえた。 とても小さい少女だった。 ・・・「ろじい」さんの時計。 そう続けている。 ろじい、さん? ろじい・・・。 いったい誰、何者を指すのか? 少女ゆえ、回らない口の…

箱舟が出る港 第二劇 四章 分岐嶺

―――でも・・・なあ? 男は迷っていた。 誰かに聞いていた、いいのかと。 快感が体を突き抜ける。 出してしまえばいつものように問題は解決する。 通り雨が欲しい。 男はカーテンを広げ外を見回したが、むんとする熱気が街を包んで いた。 大きなペニスと黒き…