羆嵐

思う事あり、稚拙極まりない小説wは凍結いたします。
その代わりに標記エッセイと日記をメインにしたいと思います。
これまた稚拙に終わりそうですが、よければお付き合いください。

ラジオから流れる朗読に戦慄を覚えた。確かTBSラジオだったと思う。
丁度腹を壊し、布団に横になり、うんうん唸りながら聞いていたと思う。
ラジオ小説「羆嵐」であった。
後々原作を読む事になる。吉村昭著であり、ラジオドラマは倉本聡が脚本。


野生動物と人間が闘う小説ならいくつか思い浮かべることができる。例えばメルヴィルの『白鯨』。モビー・ディックとエイハブ船長の激闘はあまりにも有名。そうだ海ならば、ばかでかいカジキとの対決を描いたヘミングウェイの『老人と海』もある。
中学生くらいが本格的に本の世界に入るきっかけにする一冊でしょう。あ、映画の『ジョーズ』だって同種の話だな。これは原作の方が面白かった(新潮文庫で読めます)。
小学生の頃、戸川幸夫という動物文学の巨匠による読み物が好きだった。新潮文庫にも『高安犬物語』という名作が収められていたが、その中に大鷲と闘った富山の薬売りの話が載っていた。
話は一軒の農家から始まる。つまり俺は、一応いくつかの“人間対動物”小説を読んできたわけだが、この『羆嵐』はとりわけ面白かった。


北海道北西部の天塩山麓、苫前(とままえ)郡苫前村三毛別(さんけべつ)。
惨劇は、この村に属するが山間部に孤立する集落、六線沢(ろくせんざわ)で起きる。
わずか二日間で6人の命を奪ったのは巨大な雄のヒグマだった。最初に喰ったのが女性だったがゆえに女ばかりを
求めるこのヒグマを倒すべく、村民たちは警察へ救援を求める。
やがて馬に乗って2名の警官が到着、ヒグマ退治の指揮を執ることになるが、三毛別の区長の目には頼りなく映った。
「銀オヤジを呼ぶか」。区長は決断する。“銀オヤジ”とは、羆撃ち専門の猟師。銀四郎という名のその男は、
三毛別六線沢の住民にとっては忌まわしい存在だった。酒ぐせがひどく悪く、村民に暴力を振るうことも間々ある男。
ただ、子供たち、殊に男の子には優しい。さあ、銀オヤジは首尾よくヒグマを仕留めることができるのだろうか・・・。