2006-07-12から1日間の記事一覧

箱舟が出る港  第一章 ニ節 漣  一

アスファルトに 陽炎が乱舞している。 陽炎は渦を巻き、 ある匂いを纏っていた。 それは線香の香りにも似、 哀しくもはかなく 懐かしいものでもあった。 妖気。 これもあちこちに流れていた。 その日は大漁であった。 真鯛を主にして、ヒラメ、カレイ、シロ…