2006-10-08から1日間の記事一覧

箱舟が出る港 第二章 一節 波浪 五

―――ばあさんや今日も生きてしまったよ 仏壇に線香を捧げ、手を合わせた。 紫煙は六畳二間の空間を一瞬立ち止まったに過ぎず、少なくない壁穴の 外に陰没して行った。仲間が恋しいのかも知れない。 花火の音があちこちで聞こえていた。仲間の呼び声のように。…