2006-10-13から1日間の記事一覧

箱舟が出る港 第二章 二節 難破  四

精神はすでに限界に来ていた。 男の子だった。 自らの子宮から出た我が子ではあるが、神様が与えてくれたはずだった。 抱いた感触が今でも小さく、暖かく、剣持順子の手に残っていた。 ‥神様、ありがとう‥ 看護婦に抱かれ保育室へ連れられていくわが子の背中…