2007-03-10から1日間の記事一覧

箱舟が出る港 第五章 二節 軍神たち 三

「その舟は出るの ですか・・・?」 か細い女の声が聞こえ、 笹島京平はああ? と寝ぼけた声で 振り向いた。 振り向けば綿飴のような 粘ば粘しい濃霧が、 女の顔を撫でていた。 貴婦人が被るかの帽子を深くしたその様は まるで浮世絵のようで、この魚市場 近く…