2007-03-30から1日間の記事一覧

箱舟が出る港 第六章 一節 残照 十

ちえ美は思い切り泣いた。 涙の雫に、蟻が駆け寄るように、 集まって来ている。 降らない雨が恋しいのか、 ちえ美にいたわりの言葉を 送っているのかは、 それは分らない。 ヒメハルゼミの祈りにも似た 清らかな咆哮が助けているのだろうか? それも、迷うと…