夏の風
ゆれる白いひとたち
虹の橋が 掛かる

見つめる青い空
根っこのような俺の足が 哀しい
あたりまえの眩暈立眩み

いつの日があったのら
球児を絵に描きたい
少年時を振りかえって絵の具を取り出す

手のひらに
洛陽がおちる
あたりまえの点景がある

ありえるなら
いつの日か球児を絵に描きたい
時間をかけて
そして話かけられるだろうか?

風に吹かれたかった
掛け橋を登りたかった
あたりまえの心として

俺を追い返し
俺を向かわせる
あたりまえの孤独な温もり
恋人を追い返し
恋人を向かわせる
あたりまえの哀しき温もり

ひとつ前が絶壁の頃も
ひとつ前が祭りの太鼓の音でも

俺は今俺を選ぶ
俺の側にいた俺を
恋人というフィルターを通して
さりげなく居た俺だった

やがて春になって
旅から帰れば
あたりまえの門出がある他人

春になって
門出に立つとき
あたりまえに手を振る人々を見つめる