箱舟が出る港 第二劇 一章  エピソード

murasameqtaro2007-09-15

35億年前の地球。
水の存在と、
湿度の変動が
和らげられた環境の中で、
生命が誕生したと言わ
れる。
原始の海が出来たあと、
大気や岩石に含まれていた
物質は、海の中に溶け込み、
紫外線などのエネルギーに
よって結びあったり、
破壊されたりして、
様々な化合物が生まれては、消えていったと言う。
恰も戦いのように結合、分解を繰り返すうち、【偶然?】にも生命の源になる
アミノ酸が出来た。生命の特徴とは自分と同じものを作り出す能力を持つ事
だが、それにはアミノ酸が不可欠である。
このアミノ酸がさらに繋がって、タンパク質となり、生命の誕生を導いたと
言う。
原始海洋の深さ数十メートルの海中で、強い紫外線を避けながら、生命が誕生
したと言う。
それらは単細胞体の原始バクテリアとか、ランソウ類であったと言う。
原始の海のアミノ酸は互いに結合し、さらに長いつながりのタンパク質となる。
これこそが生命の元であり、それが脂肪の袋に包まれ細胞となる。
生物が増える為には、自分と同じタンパク質を、同じように並んだアミノ酸
作らねばならない。
細胞はそのアミノ酸を合成する設計図を持っていた。
いわゆる二重らせん構造のDNAである。


その鉱物の扱いは市島学長により山下助教授に一任されていた。
赤茶けたその鉱物は地球上に存在しないものと山下は結論づける。
レーザーさえも受け付けない硬度を持ち、破壊する事は不可能のようだ。
アボガド!!
空腹を覚えたその時、僥倖かもしれないが、オードブル宜しく何時も最後に食べ
る熱帯の果実をふと思い出した。
なんとおろかだったのだろう、色に惑わされたが、その形は彼が好きな果物
に実によく似ていたのだ。
その果物を大きくした物、それはトロマトライトではないか!?
トロマトライトとはランソウ類の活動が活発になり、満潮の時は海面下にあるが
干潮の時は露出する海辺の潮間帯に出来る。他の生物が生存出来ない高塩分
水域で、ランソウが固まった球状の堆積物を言う。
オーストラリアの西海岸ハメリンブールに、現在でも現生している。
赤茶けたその鉱物は地球上に存在しないものと山下は結論づける。
だが、鉱物でないとするならば・・・。
もしトロマトライトだとすれば、紫外線を浴びせればその中身が見えると言う
薄い構造だというのに、なぜ傷ひとつつける事が出来ない?
中で化石?になっているのは間違いなく蝿の一種である。
なんとしてでもそれを取り出し、その構造を解明してみせると山下は虚空の一点
を見つめた。