大山倍達伝 ニ

1ビール瓶の首を手刀で切断する、2自然石を手刀で割る、3バットを蹴りでへし折る、4瓦を20以上
拳で割る、5厚い氷をエンピ(肘)で割る、6十円玉を人差し指と親指で曲げてしまう。
空手道を経験していない人達は驚愕の目でみるだろう。しかしこれは真実ではない。
1ビール瓶の首を切断しようとすると大抵瓶ごと飛んでしまう、物理的に切断など出来はしない。
切断するには、瓶の中に重いものを入れなんらかで固定し飛ばないようにする。そしてある角度を持ち、
力ではなく、擁する手刀のスピードを最大にして、一気に空気を切る感じで叩く。しかし手が切れる恐れ
がある。大山はそういう事をせず、見事に、すぱり、と切り、泡の流れる瓶を見つめる。
これはショーである。瓶自体にからくりがあるのだ。例えばアクション映画で窓ガラスを頭から突き破り
犯人とか相手を追う・・・そうこれと同じ、ガラスが偽であるように・・・瓶は普通ではないのだ。
2これは非常に簡単な理屈で素人でも割れる。利き手の反対の手でなぜか石を、浮かせて、持つ。
そして割る石の下には、石か鉄で出来た台がある。木などが置いてあった事はお目にかからないだろう。
そう・・・利き手で浮かせた石を叩き、下の石にぶつけるだけなのである。
3これは普通のバットでも一番弱いグリップあたりなら割れる。しかしこれも、ショー、用に造られた
柔らかいバットなのである。4これも同じ・・・普通の瓦ではなく『試割』用のもので耐性が弱い。
屋根用の一般の瓦なら自分では六枚・・・それ以上だとおそらく手首の骨が折れると判断し辞めた。
5これも熱で柔らかくした氷である。6一度熱湯に入れて、ある時間を待ち取り出す。すると銅で出来た
硬貨は一時的に分子が乱れ非常にもろくなる。つまり、ぐにゃり近くなるのである。
多分一円玉までなら曲げられるだろうが、十円はどんなに指を鍛えても曲がりはしないのである。

しかしこういった体系を作り出した大山が弱いというわけではない。

〜続く〜