最初の別離 〜其の弐

母校


貴方のことが頭にちらついて、しゃらら・・・





近頃空を見上げることが多くなった。



そらのしゃしんを撮ることが、多くなった




空の向こうに魂が集まる惑星などがあるとするならば、
ふと何気なしに見上げる気配は、
そこに居る斉藤からの呼びかけのような気が近頃、する。


生涯、親友と呼べる者を、何人作れるだろう。
社会へ出てからの親友作りは難しいものだ。
競争もあり損得もあるからな。


19歳の時知り合った彼は、
お互い一生付き合っていける、
とふたりで飲んだ時話し合ったもんだ。
大切な友人のうちのひとりを、
感受性の弱まっていない時代に
逝かせてしまった・・・
これは後で書くことになるけれども、

自分にも責任があったのか知れない

そして。
彼が居れば、自分の人生も多分違ったものになったはずだ。



就職は自分と違って、上場企業に決まっていた。
卒論も終えて、あとは三月の卒業を待つだけ、
希望ある人生が始まるまでもう少し、
それは矢先の前年12月後半の昼のことだった。

その日の日曜日。
何気なしに見ていたNHKテレビがこう告げた。



「昨夜大井町線上野毛駅近くの線路で、21歳の男性が列車に跳ねられ亡くなりました。所持していた学生証から、××大学の斉藤浩司さんと解りました。現場は見通しのよい線路で、斉藤さんは酒に酔い、線路上を歩いていて、後ろから来た電車に気がつかず、跳ねられたものと警察は見ております」



―――もしもし?あの、○田なんですけど?
―――・・・はい、あっ、○田くん、私です
―――今、ニュースで見たのですけど、ヒロシ?ですか?
―――・・・そうなの・・・いっぱい友達がいたのにねぇ
馬鹿よ・・・
―――彼は?
―――自宅に向かってます・・・


ヒロシの長姉との短い電話。

彼に可愛がられていた一番下の弟が、

俺の口元をみつめて、いた。



そんな馬鹿な、と手にしたCDを落としそうになる。



それはその日に買った、サザンのシングル。


題名はシャララ・・・だったことを覚えている。



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ぼくたちの「完全自殺マニュアル」

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買ったよ

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