懺悔す

murasameqtaro2017-03-29

買いようがない、けれど買わねばならぬもの。
売るほうは値を提示しないので、仕方がなく、
おおよその相場を周囲に聞く以外にない。
商品と言ってはバチが当たる?
失礼だが、面倒くさいそれ、・・・ズバリお布施です。



貧乏ながら人様並みの葬式を出してやりました。
その後の一般的な法要も世間様並にやりました。
父の一周忌が近づき墓誌を彫ろうと準備してます。

彫刻屋さんは当然値段は提示してくれて、
まあ世間一般の妥当な額でありました。
で、はっ、と改めて考えたのが父の戒名。
墓石の裏側にある先祖の戒名より格が下がっているが
直してもらったらどうか?と。



私はそもそもこんな考えでした。
いい戒名を貰ったからといって、
あの世でいい場所に行けるとは限らない、と。
現世で悪事を働きしこたま金を儲けた輩が
とんでもない額をお布施し、
最高の戒名を貰ったからといって果たして天国に行けるのか?と。
一般的な戒名の値段でいいではないか、と。



浮世で悪事を働いたものが
寺に高額なお布施をしたからと言って、
あの世というものがあるならば、
果たしていい場所を予約出来るのか?
そんな馬鹿なことはありえないと解りながら、
じわじわとなんともいえない懺悔感が心をつつき、
それでは父以前の先祖同様にしようと決意しました。
なんでも先祖の戒名はとてもいいものだったとかで、
・・・それを壊したのは私です。
しかし取り返しのつく破壊でありました。



○○院・・・・居士と直す。
お寺様のほうでははっきりと提示して頂けないので、
一度つけて貰った戒名代に同じ額を追加、
つまり倍になった次第です。
これならば最初からそうすればよかったと後悔しました。



生前嫌な親父だと数え切れない程思いました。
言葉には出さなかったけれど
早く死んでしまえと思ったこともありました。
しかしですねぇ、亡くなってから初めて気づくこともあります。
いろいろと父との美しい思い出がありました。
死んでしまえ・・・
美しいものを忘れ
こう思った様々な場面に対しての懺悔であります。



しかし、後々までこれは押し付けません。
父母の世代でいい戒名とやらはおしまいにする。
私が逝く時には戒名の格とか値段とかは無視して、
一番廉価なものをつけろ、と遺言を残しておくつもりです。
値段がないものほど厄介なものはないので、
気持ちだけでいいと。
信心深かった先祖と、全くそうでない末裔。
自分は他人を裏切ったことはないけれども、
取り返しはつくが父親を裏切ってしまった・・・
地獄行きでもかまわないと。



桜のつぼみも膨らみ、ああ・・・もう一年もたつのかねぇ・・・