豊饒の海
第二次大戦後アメリカは洪水の如く日本に入って来た。
これはあたり前の成り行きであるけれど、
当時の知識人たちは、日本人は魂を失った、
と、嘆いたという。
あるいはあまりにも落差が大なので、
アメリカ洪水は永久的、恒久的に思えたのかも、知れない。
著者三島由紀夫は、
アメリカの占領が比較的短期に終わることを予想し、
アメリカの洪水が終了した後の
古い水を期待していたようだ。
日本人がその魂を失ったのかどうか・・・
自分にはよく解らないけれど、水が流れている最中に、
壺の中の水は落水に揺り動かされ、
叩き砕かれることなく泰然と、
ひっそりと自らの姿を保つべきだったと思う。
日本人に対する真のテストは、
占領中ではなくって、戦後追行されたものだ、と思われる。
アメリカはどの国へ行っても、自国のやり方を変えない。
自分達の文化を押し付けようと、する。
占領者としのアメリカは、良くも悪くも、
多くの概念と物を日本に持ち込んだ。
そして日本は全てを受け入れ、
飲み込んでしまったようだ。
日本にあってアメリカにない素晴らしいもの。
それをアメリカが持たないために、アメリカで良きものが、
日本では悪であったものが少なからず、あるはずだ。
良い物を選べば良かったのだろう。
外国文化に畏する事なく・・・
良い物を選んで、自らを高める一方で、
自らの文化、独創性を拒否するものを拒否すれば、と。
憂国ともども、
ゆっくりともう一度、読んでみたい一冊である。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
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