箱舟が出る港 第二劇 二章 メタモルフォーゼ

murasameqtaro2007-10-17

超能力、幽霊、UFO、
霊視、予言、占い、
異能力は真実か?
まともな学者なら
存在自体が法則を無視する
仮の真実であったとしても、
猜疑心を持ち否定しながらも検証し、
科学的な回答を追求する事であろう。
なかんずく超能力者。
ユリゲラーエドガーケーシー、細木数子江原啓之宜保愛子、古くは
関口某。
清田益章などは今でも超能力だ、などと懲りず雄叫びをあげる。
透視やスプーンを曲げる事が出来ると言うのだ。
江原啓之などは霊視が出きるなどと厚顔無恥にもいう。
透視や霊視のカラクリは事前リサーチであり、スプーン曲げは指先の力による
手品として知られている。
予言や占いが真実なら、誰も努力などしない。何もしなくていいのだ。
物理に反する現象を誇示し金儲けする輩に対し、人はペテン師と呼ぶ。



例えば100メートル。
9秒台で走る。
例えばプロ野球
12球団の選手は、二軍を合わせても1000人にも及ぶまい。
数的に考えれば医師や弁護士が束になっても適わない希少な能力者である。
難関なのである。
例えば宇宙開発。
綿密なる計算の元、火星探査機は机上通りの場所に寸分狂わず着陸する。
綿密な計算は誰しもが出きる芸当ではない。
超能力者とは、こういう世界に居て常人に出来ない芸当をする、選ばれた人物を
言うのだと、太田垣は学者として考えていた。
眼前にその、まろうど(賓)が居る。
高校野球の冶金術に関しては、超能力者と言うべき男、森内幸男であった。
その森内はお茶を飲み終えると、今度は似合わないラークを取り出し、火をつけ
た。
―――心理戦の癖なのか?
いや違うだろうと太田垣も煙草を取り出した。
三分程の無言の時間が過ぎた。とてつもない森内の【感】の伏線なのだろうと、
太田垣は胸の隅々まで、煙を吸った。




アポロ計画が計画通りに動いていれば、とうに月面基地などは完成していた。
チタン、ウラニウム、ヘリウム3。貴重な鉱物資源を手にした人類は、また
違った方向に進んでいたかも知れない。
時のケネディ大統領はなぜアポロ計画を中途半端なままで辞めてしまったのか?
アメリカ国民は不思議に思う。なぜか?
予算は膨大に残したままだった。
40年近い月日が流れたのにも関わらず、以後一度たりとて月には行っていない
ままだ。
40年という時間は実に長い。当時の科学力など問題ではない。今やその気に
なれば、月には簡単に行ける科学力を齎しているにも関わらず。
有意義な鉱物が月には山ほど眠っているにも関わらず。
行きたくても、何かがあり、行けないのだろうか?



ケネディ暗殺には、アポロ計画の不透明な影があり、それは月の裏側、地球外生
命体の存在を公表しようとしたからだ、と言うまことしやかな噂があるのもまた
現実であるのだ。