箱舟が出る港  第三劇 二章 月世界の戦慄

青く透き通り動じようとせずにいたものの、何に泣くか怒るか悲しむと
いうのかしらん、濁ったものを纏い浜辺に、汚れを浜辺に捨てに来る。


誰かが書き、浜辺に置かれた絵画は、捨てられたものだろう。
取りに戻る事はないのか。


人の心は海のようなものであるが、形容するに乏しいし狭い。
小さな舟を浮かべても、戦艦であっても、笹舟であっても、行先は知ら
ない。
清き心の人形はどうにも少くなった。


果てぬ宇宙はより膨張するが、ゴミの捨て場にも死苦八苦し、人の心は益々
小さくなって行く。
もはや文明は停滞したほうが、よい。
文明の進化への目論見は貪欲である人種がいる一方で、戦いばかりしている
人種もいる。
なぜ色で区別しようとしたのか後悔する。


主の意志に逆らい網の目をかいくぐる狡猾さを人類は纏った。
ならば滅亡したほうがよいのかも知れないし、地球の病はバタフライ効果
いつしか宇宙全体に広がる。
自らのを滅ぼすわけにはいかない。


創造時の男女二体・・・ふたつではいけなかったと後悔する。
人類が造った法則を見よ。民主主義だという。三対あって、多数決が決まる。
あるいは誤りは減ったかも知れない。
雄雌X・・・
筑波山男体峰を破壊し、雄雌に加えあっち側の三体目、Xをその体を入れてみ
たが、これからが予測がつかない。
例え創造主であったとしても、その【上】の存在が居るかも知れないのだ。
上位存在がこの行為を許すのか?許されなくても、銀河系の端っこにある星が
いずれ宇宙を滅ぼす、我が体を。


宇宙を作った我々は何者か?
我々を作ったのは何者か?



この宇宙の創造主は迷う。
蔀善悪のはざまで、構築すべきものは違った形となってしまった。
今更脳内にチップを入れても、つまりこれからの歴史を変えても、ずるさをもった
人類は、これを撃退し、都合のいい歴史に修正してしまうだろう。
創造した人形は主の手を離れ命を纏ってしまったのだ。
進化は喜ぶべきものだが、曲った方向に進む。
こんなはずではなかった・・・



なるほど人にとっては便利になろうが、環境負荷という犠牲を払っての上でだ。
ここで全てをホルマリンに漬け、一度撤退する必要がある。
入れ替えをしなければならない。
制御不能になった人類と時を凍結する。


ミッシンリング(失われた環)を見直す。
弊害はないか?
継ぐのは魚でいいか?
いいだろうか?