祭り(少年の日) 一

陽炎燃える夏休みの午後の校庭。
補助車をやっと外した自転車、
嬉しくて校庭を走り回る俺と友達たち。
ハンドルの真中に立てた、風車が回る。
幾度となく校庭を走り回っていると、トラックが入ってきて
大木が降ろされた。
大人たちが何か組み立てている。
『何が出来るんだろう・・・』
採ろうとしても採れない見つからない鬼ヤンマが近くに舞う
俺達は時間も忘れ 夕日に染まるまで校庭を眺めていた。


翌日朝。
ラジオ体操で校庭に行く。
すると見慣れないものが屹立していた。
昨年は無かった・・・そしてその前も無かったっけ
何かが始まる・・・子供心にわくわくと滲み出ていた。
『今日は数年ぶりの盆踊りなんだよ』
帰ると祖母が教えてくれた。
真っ黒な顔をした大人たちが立てた不思議なもの。


それは『やぐら』といった。



夕方。
この街の人々が 浴衣姿で家の前を歩く。
早く行きたい・・・自転車にまたがり友達と校庭に向かう。
鬼やんまを採るより、鮒を釣るより、難しそうだが しかし大きなオモチャ箱のようなものが
・・・太陽よりもまぶしく輝いていた。

夜の遊びが始まる。

俺達はやぐら、の周りを自転車でぐるぐる回っていた。


昼時の放り投げたバスケットシューズ
裸足だ歩いたグラウンドの砂が
風呂の片隅に落ちて、いた

〜続く〜