カラオケの玄人


落日の道をお袋が走って、いる。
私をおぶって走って、いる。
そうそう早く走れないのは私のせいだと思われる。
私が舌を噛まないようにと、揺れをちいさくして
走っている。
なぜオフクロさんが走っているのか?
背中に居る自分には解らない。
ただ・・・遠くにバス停があるような気がする。
間もなく夕立がやってくるような気がする。
木のサンダルが石を噛まないか?


カラオケは嫌いではない。
歌を歌うのが好きでない私にとって、
酒が大好きな私にとって、
カラオケ屋なぞ居酒屋である、と
副次的に位置づけているからだ。
酒のみの延長の場と思っているから、
歌など二の次、そんなものはどうでもいいんで、
ほらビール持ってこい、この野郎、つまみは枝豆だこら、
・・・の口である。



夏も逝く、
いや天候不順な今年の夏はとうに行ってしまった。
私はカラオケで人様にしつこく勧められると、好んで井上陽水の名曲、
少年時代を歌う。
しかしキーたるやまともでなくって、所謂音痴なので、
周りの人物はまともに聞いていない事を、よ〜〜く知っている。
自分でも下手だとようく認識しているので、
別に怒りはしない。


♪なあつが過ぎ風アザミィぃぃ、だれの憧れにただょおお♪、
と始まると、
やれやれ、よっこいしょ、どっこいしょ
・・・という感じで義理の拍手が待っているorz



少年時代。
画面には山河が流れる。
果たして自分は情景を思い出して、歌詞と一体となって、
歌っていただろうか?
いや違うな、魂など込めていなかったと思う。
ただ歌詞を音読するだけであったかな、と。



歌手だけが歌のプロではない。
歌手にならない歌手が世の中には結構いるものだ。
例えば教えて貰って、開いたサイトから聞いたこの方である。



率直に。
・・・地声にステレオを持っている方だなぁと感じた。
これは生まれつきなんだと思う。
そして情景を心に浮かべながら、
浮かんだものを声で素直に表現出来る術を知っているのだろう
と思われる。
さらに今までに色々と人生経験されたか、または沢山の書物でも
読んだのだろうか?と。
彩りが鮮やかだ。
将来が嘱望される構えであり、
仕事も熱を入れそうな、人事担当としては欲しいタイプだ。
もっともご年齢は知らんけど。



ご本人がコメントされているように、
この曲を歌うのは簡単な事ではあるまい。
生半可な歌唱力では、歌えないだろう。


見事な素人さんである。
知りうる限りこんな素人は近くに存在せず。
世の中には歌手でもないのに、
歌手レベルの声を持つ人が隠れております。



モノラルな俺の地声はどうしょうもない。
救いようがなし。
まあせめて、少年時代、を歌うのであれば、
最初に書いたような情景を思い起こし、歌詞に挑むべきかと思う。
歌唱力の上昇とともに、
オフクロが何を急いでいたのかを知ることが出来るかもしれない。



私の心は、夏模様ではありませんなw


♪八月は夢花火・・・

そう、あれは夢だったのだろうか?


なあ、老いたるかあちゃんよ・・・







尾崎亜美さんの歌が似合いそうです



★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

気がついたら四ヶ月未更新。
・・・てか自分でもココ見ておりませんでしたwww