復活の日・ウィルス

復活の日

今週のお題「心に残る映画」


―――路半ばの貴方を称える人はいないわ



SF小説を好んで読んでいる。心に残ったものも多い。
心に残ったもので映画化された作品が、就中、小松左京の「復活の日」である。読んでいたのにも関わらず映画化された事、それはようつべで知ったが、英語版なのでよく解らず(現在日本語版がアップされてます)プレミアム版(特典ディスク付)のDVDを購入した。向うで公開されたものは、日本版と違う編集だといった意見が見られたからの理由もある。




―――歩き出すにはまだ遅くはないわ




1982年の秋、人類は死滅した。南極大陸に863人の人間を残して・・・一体なぜこんなことに?のテロップが冒頭に流れる。イギリス海軍の潜水艦ネレイド号の潜望鏡から日本を見つめる主人公、吉住(草刈正雄)。



アメリカの軍部が作った小指ほどのアンプルに入る新型ウィルス・生物兵器が原因だった。やがて大地震が起こり、余波によりアメリカの核が、仮想敵国に発射される懸念が生じた。南極に逃れた863人の人間たちは、発射されればその地が、旧ソビエトの核に報復される事を知る。世界は二度滅ぶ・・・そんな事態を阻止しようと生存した地質学の専門家吉住と、アメリカの軍人カーター少佐(ボー・スベンソン)はホワイトハウス地下にある核兵器の基地に侵入する。全てを二人に託して砕氷船で、南極から一時非難する生存者。
―――メイキングカムバック
吉住を愛したマリト(オリビアハッセイ)が呟く。




印象深いシーンが多い。
例えば冒頭に流れるジャニスイアンの最高傑作とも評される曲。
映画は原作に忠実ではないけれど、実に美しい主題歌である。




―――輝く光りが見えなくても悔いはないわ




主題歌「You Are Love ユー・アー・ラブ」の一節を散りばめて書いている。
映画は駄作だったとの評もある。こりゃいかん駄目な映画だ、と論評された人でも、この歌と背後に流れる画像の美しさだけは秀逸だと語る人も多いらしい。アメリカ版よりも感情移入し易い構成。私もこの冒頭は好きで、オットセイの哀しい泣き声に重ねて、人の愚かさを随分考えたものだ。



特典の小冊子を読むと監督の深作欣ニは、「まさかこんな曲調がこの作品に合うの?」と、当初は当惑していたらしい。
が、映像入れ込んでみると文句なしにぴったりだったと語っている。



そして、死滅した世界。
誰もいなくなった教会の中で、吉住がキリストの像と骸骨となった親子と心で会話するシーンが圧巻だ。



言葉以外に人が語る本心がここにある。


土の声、岩石の声、草木の声、虫や小動物の声、風の声、波の声、そして愚かな人間の懺悔の声が聞こえる。
この映画で一番の印象深い名場面だと思っている。



また中盤にこんなシーンもある。
―――ライフイズワンダフル・・・これを日本語でなんと言うのかね?
死を目前にしたカーター少佐が吉住に問う。
―――人生とはすばらしい
と吉住。




美しいラストを見るたび、いつも思う。
戦争だけは決してやってはいけないと。



―――空が暗くなってもまだ間に合うでしょう


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コメントが下手で失礼ばかり。やはり勝手気ままにやっていた方が楽でして・・・短い間でしたが、付き合って頂いた皆様。今までありがとうございました。心よりお礼申し上げます。
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